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2022.03.10 コラム

【コラム #01】3DCGホログラム(擬似ホログラム)ディスプレイとは?

こちらの記事では、 当社が扱う「(擬似)ホログラムディスプレイ」の仕組みをご紹介します。

 

■ 「ホログラム」と「擬似ホログラム」

 

「ホログラム」と聞いて思い浮かべるものとして、 身近なものでは紙幣などの偽造防止のマークや、 シールなどの煌びやかな装飾などがあります。

ただ、 映像コンテンツにおける「ホログラム」として考えた場合、 映画やアニメなどで見かけるような「何もない空間上」に人物などの立体映像がボウッと浮かび上がる状況を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

数々の映画やアニメで描かれてきた、 立体映像との対話(画像はイメージです)

「ホログラム」とは「立体像を記録したもの」のことで、 まさに上記のイメージに近いものも実現してはいますが、 現在ホログラムを用いた映像コンテンツとして取り上げられるものには、 透明な板などに立体感のある映像を投影して空中に像が浮かんでいるように見せる「擬似ホログラム」が多数存在します。

当社でご提供する3DCGホログラムディスプレイでの表現も、 この「擬似ホログラム」にあたります。

このような表現は、 一般的なイメージが先行して「ホログラム」と呼称される場合も多々ありますが、 本来の「ホログラム」とは全く別の技術であるため、 「擬似ホログラム」などの呼称で区別するほうがより正確といえます。 また、 擬似ホログラム表現を行うディスプレイのことは「ホログラフィックディスプレイ」と呼称する場合があります。

 

 

■ 「ホログラム」の本来の意味とは

 

「擬似ホログラム」に対して、 本来の「ホログラム」は、 ギリシャ語の「すべてが記録されたもの」という意味からなる言葉で、「3次元の情報を薄いフィルムに記録したもの」のことです。
※参考資料 久保田敏弘(2010)『新版 ホログラフィ入門 -原理と実際-』朝倉書店.

 

「三次元の情報を記録する」という部分について、 最近話題になった新一万円札にあしらわれた肖像画を例にとってご説明します。

新一万円札の表側には従来の紙幣と同じように肖像画が描かれるとともに、 ホログラムで表現された肖像が新たに導入されました。
ニュースなどでご覧になった方も多いかと思いますが、紙幣を傾けると、 その動きに合わせてホログラムの肖像の顔の向きも変わります。
これに対して右側の肖像画は、 いくら紙幣を傾けても顔の向きに変化はありません。 同じように、 人物を撮影した写真自体を傾けたところで被写体の見える角度は変わりません。

3次元の情報が記録された「ホログラム」は、 まるでその部分に奥行きがある立体の像が埋め込まれているかのように見えますが、 この効果はコピー機などで簡単に複製することができません。 そのため、 紙幣やクレジットカード類では偽造防止の目的でホログラムを使用しています。

紙幣やカードで見かけるホログラムの例(画像はイメージです)

 

 

■ ホログラム風の表現を可能にする視覚トリック「ペッパーズゴースト」

 

当社が取り扱う「3DCGホログラムディスプレイ」は、 「ペッパーズゴースト」という古くから存在する技術を利用し、 最新の映像技術と特殊なコーティングガラス(ミラーガラス)によって不思議な「擬似ホログラム」表現を行うディスプレイ装置です。

ミラーガラスは鏡(ミラー)とガラスの性質を合わせもったものです。 商業施設の従業員入り口などでこちら側からは鏡に見えるのに、 反対側からはガラスのように透ける窓がありますが、 それがミラーガラスです。 マジックミラーとも呼ばれています。

鏡に像が映って見えるのは、 物体に当たった光が鏡面で反射しそれを目が捉えるからです。 ガラスは鏡とは異なり、 光をほとんど反射せずに通すので、 ガラスの向こうが透けて見えます。

これに対してミラーガラスは両方の性質を持っているので、 入ってきた光の一部を反射し、 残りを通します。 これを応用し、 ミラーガラスに映る「鏡像」とミラーガラスの奥に透けて見える「そこに実在する空間や物体」を重ねて見せた視覚トリックが「ペッパーズゴースト」です。

19世紀の劇場で、 現れては消える幽霊を表現するために用いられ話題となったこのトリックは、 特許を取得したペッパーという人物の名前から「ペッパーズゴースト」と名付けられました。 3DCGホログラムディスプレイに限らず、 お化け屋敷などのアトラクションやアート作品、 ステージ演出などで今も体験することができます。

 

 

■ 擬似ホログラムディスプレイの仕組み

 

3DCGホログラムディスプレイの筐体は、
❶ 高輝度・高精細モニター
❷ ミラーガラス
❸ 展示空間

で構成されています。
※筐体によっては、 スピーカーや展示物を照らす照明が内蔵されているものもあります。

1面タイプの筐体イメージ(構造を見せるため側面の壁をなくした状態)
実は筐体手前の開口部に斜めのがラス板が設置してあり、 現れては消える文字やヘッドフォンはガラス面に投影された映像。 筐体内のスマートフォン(実物)と映像が重なることで、 スマートフォンからヘッドフォンが飛び出すという実際にはありえない状況を演出している。

この図では、 1面タイプの筐体の事例「スマートフォンからヘッドホンが飛び出すコンテンツ」を例にとってご説明します。

 

❶ 高輝度・高精細モニター
筐体の天井部分に設置されており、 ミラーガラスに投影する映像を再生します。
この図の場合、 黒い背景の中にスマートフォン操作画面と飛び出すヘッドフォンなどが描かれています。

かつて舞台やアトラクションにペッパーズゴーストが取り入れられた時点では、 このようなモニターがまだ登場していなかったので、 別室で人形や人物が演技する様子を鏡などを介してガラスに映していました。

近年モニターの映像が高画質化し、 ガラスに投影された映像でも実物を目で見るのと変わらないほどのクオリティを得られるようになりました。 その結果、 よりリアリティのある、 そこに実態があるかのような映像表現を楽しむことができるようになっています。

 

❷ ミラーガラス
入ってきた光の一部は反射、 一部は通すようコーティングされたガラスで、 上部のモニターに対し45度の角度で取り付けられています。
モニターの映像の中で明るい部分は光が反射してガラスに映りこみ、 黒に近い部分の光は透過するので筐体の奥が透けて見えます。
この図の筐体は前面から見る1面タイプですが、 ガラスをピラミッド状に設置して、 側面からもコンテンツを楽しめる3面タイプのご用意もあります。

ミラーガラスの加工技術の向上で光の透過と反射の効果が高まり、 筐体内の物体と映像が違和感なく重なるようになったことも、 擬似ホログラムコンテンツがよりリアルな映像体験に近づいた理由の一つです。

 

❸ 展示空間
映像を重ねたい実在の物体をガラスの奥に設置でき、 筐体に収まる大きさなら、 商品自体やパッケージ、ジオラマなども設置可能です。

商品から何かが飛び出す、 ジオラマ内を妖精や動物が動き回るといった演出にご使用いただけます。
もちろん、 物体を設置せず、 映像が浮遊するようすだけを見せるコンテンツを再生することも可能です。

この図の場合は、 展示空間内にスマートフォンのモックアップをスタンドに立てて置いてあります。

モックアップは電源が入らないので画面は真っ暗のままですが、 それでもスマートフォンが自動的に操作されているように見えるのは、 ❶のモニターに映る映像自体に操作画面も含まれており、 それがちょうど画面の位置に投影されているためです。

 

この仕組みはモニターを縦(垂直)に置いても同様に扱えます。
当社では、 人物やファッション関連などの縦に長いコンテンツ向けに大きめの縦型筐体もご用意しており、 最大のものは実際に人物が立って映像と関わるような演出にもご利用いただける等身大サイズのものがございます。

縦型の例。 いずれも映像を再生するディスプレイが正面から見えないように設置されている。(左:42.5インチ縦型/右:等身大サイズ)

■ 回転するLEDディスプレイを用いた空中にものが浮かぶ表現

 

ペッパーズゴーストタイプの他に、 扇風機の羽根のように回転するLEDディスプレイを用いて、 空中にものが浮かんでいるような表現を行うタイプの製品、「3D Phantom」もございます。

こちらは「ファン(扇)タイプ」、「バーサライター」などとも呼ばれており、 高速で回転する羽根につけられたLED光の残像が面状に広がり、 ディスプレイのように映像を表示するものです。 ディスプレイ本体は回転によってほぼ透過に近い状態となり、 残像でできた映像だけが空中に浮かんでいるようにみえます。

よく見ると羽根が回転している様子がわかります(3D Phantom)
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